基礎に柱の沓石(くついし)を据えます。
位置・高さ共、誤差が決して許されない、精密な作業です。
立柱を待つ本柱。これから数百年、屋根を、本堂を、支え続けねばなりません。
いよいよ現場入り。安全第一に、段取り良く、各部材を組み立てていきます。
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立柱から上棟まで(木工事)
桁、梁が組み上がり、束を立てます。
ひとつひとつ精魂込めて仕上げた部材が瞬く間に組み上がっていく様は、何度経験しても感慨深いものです。
立柱式。ご本尊がお入りになる神聖な場である本堂の、建て初めの大切な儀式です。
斗栱(ときょう)の組み上げ。
御内陣付近の斗栱(ときょう)の組み上げ。
斗栱(ときょう)の最下の大斗(だいと)を据えます。
柱の上部も継手(つぎて)、仕口(しくち)によって強固に組まれ、緊結されます。
脚固(あしがため)によって柱同士が強固に緊結されます。
番付に応じて次々と柱が立てられます。
向拝(ごはい)に縋破風(すがるはふ)が入りました。
隅木入れ。構造的にもとても重要な部材です。
向拝虹梁(ごはいこうりょう)と向拝柱(ごはいばしら)の仕口(しくち)を納める山内棟梁。
化粧垂木(けしょうたるき)、茅負(かやおい)が入り、軒の形が出来てきました。
婦人会の皆様の現場見学。足場の上にまで上がって、熱心に御覧頂きました。ありがとうございました。
向拝虹梁(ごはいこうりょう)入れ。
組み上がった指母屋(さしもや)に破風板(はふいた)が取り付けられます。幅70cm、長さ5.5mの一枚板から仕上げられた部材です。
指母屋(さしもや)の組み上げ。このような妻飾は、二重虹梁蟇股式と呼ばれ、奈良時代以降、各時代において賞用され続けてきました。
桔木(はねぎ)入れ。軒先の下がり防止に設ける、とても重要な部材です。
新本堂の骨格が見えてきました!
このような小屋組(こやぐみ)が、本堂の屋根を数百年支え続けます。小屋組の母屋(もや)と小屋束(こやづか)は、樫(かし)の込み栓(こみせん)によって、全て強固に緊結されています。
堂内見上げ。梁が縦横に組まれています。一番太い梁は、牛曳梁(うしびきばり)と呼ばれ、屋根の加重を支えるのにもっとも大きな役割を果たしています。
野地仕舞いを終えた堂内。
野地板を張ります。一般的には15mm厚のものが主流ですが、耐久性を高めるため、弊社は18mm厚のものを使用しています。
工事のひとつの大きな区切りである、上棟式。お施主様、地域の皆様方の歴史に残る、大切なハレの日。ここまでの無事を感謝しながら、古式にのっとって行います。
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上棟式
お待ちかねの餅撒き。皆様の嬉しそうなお顔に、私共も本当に感激する一日です。
棟札(むなふだ)。今回の事業を後世に伝える、貴重な資料です。上棟式後、新本堂の小屋裏(天井裏)にて保管されます。
境内が大勢の皆様で埋め尽くされました。狩衣(かりぎぬ)、直垂(ひたたれ)等、古式にのっとった衣装で、儀式に臨みます。総代長にも、代表で衣装をお召し頂きます。着付けは、婦人会の皆様にもご協力頂きました。ありがとうございました。
槌打の儀(つちうちのぎ)。棟木を棟に打ち納める儀式です。この本堂が、『千歳(せんざい)、千年』『万歳(まんざい)、万年』『永々(えいえい)、永遠』に繁栄する事を願い、三回に分けて槌を打ちます。
だんだんと棟木が上がってきました。
検知の儀(けんちのぎ)。柱に検知棒をあてがい、建物が設計通り出来ているか、確認する儀式です。検知役は、総代様にお務め頂きます。
曳綱の儀(ひきつなのぎ)。棟木を棟まで引き上げる儀式です。境内の皆様にも、綱を持って、「えい、えい、えい」と、掛け声を掛けて頂きます。
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瓦工事
瓦は、皇居の屋根瓦に使われる等、燻し瓦(いぶしがわら)の産地として歴史的に有名な愛媛県の菊間瓦を使用した、本瓦葺き(ほんかわらぶき)です。
屋根に上げられる前に、皆様にじっくりと御覧頂きました。
いよいよ鬼瓦が屋根に上げられます。瓦工事の大きな節目ですので、「鬼立て式」の儀式を行います。
地葺き(じぶき)。野地に打たれた瓦桟(かわらざん)に平瓦を引っ掛け、一枚一枚、釘で止めていきます。
拝巴(おがみどもえ)。破風板(はふいた)の最上部の頂点の巴瓦です。
箕甲(みのこう)部分の葺上げ。慎重に瓦を割り付けます。
丸瓦が真っ直ぐに通っています。屋根の面積が広いうえに、屋根地が曲線ですので、高低を揃えて、かつ真っ直ぐに葺くには、経験と技術を要します。
丸瓦の葺き上げ。雨漏りを防ぎ、強風や振動で瓦がずれるのを防ぐために、丸瓦の下には漆喰を入れて葺きます。
昔は瓦の下に土を置いて葺く土葺(つちぶき;湿式工法)が一般的でしたが、近年は、屋根の軽量化や野地の腐朽防止の観点から、瓦桟(かわらざん)に瓦を引っ掛けて葺く引掛葺(ひっかけぶき;乾式工法)が主流になっています。
上手く納まりました!
大鬼(おおおに;大棟の鬼瓦)の据え付け。
大棟の熨斗瓦(のしがわら)の積上げ。大棟の反りは、屋根を美しく見せるためのとても重要な要素です。
下から見上げた時に美しく見えるように、葺かねばなりません。経験と技術、更には勘も必要な部分です。
降鬼(くだりおに)。上部の経の巻(三本の円筒部分)には宗紋が、下部中央には寺紋が入っています。
留蓋(とめぶた)。一体一体、鬼師(おにし;鬼瓦や留蓋専門の職人)の手造りです。
今日もまた日が暮れます。軒巴(のきどもえ)が端正に並んでいます。
浮かび上がる降棟(くだりむね)の反り。
仕上がりまであと少し。
仕上がった鬼瓦(獅子口)と掛巴(かけどもえ)。
同じく、軒巴(のきどもえ)と唐草。
藁(わら)を粘土と混ぜます。その後しばらく寝かせる事により、藁が発酵し、土を丈夫にします。
これから土が塗られるところ。下地構造ですが、丁寧に組まれた竹から光が差し込む様子は、美しいです。
長持ちする壁は、しっかりした下地があってこそです。
竹小舞下地(たけこまいしたじ)。土壁を塗るために、竹を組み縄をからげて作る下地です。
荒壁塗り。下地の隙間に入るように、しっかりと塗り込めます。
貫伏せ(ぬきぶせ)。貫が入っている部分に、亀裂防止の為、新しい藁を塗り込みます。
荒壁塗り後。十分に乾燥させます。
中塗り。
中塗りで壁はほぼ平滑になります。
中塗り後。
漆喰。研究を重ね調合された、オリジナルのものです。
いよいよ仕上げ塗りです。鏝(こて)で押さえて、鏡のような肌に仕上げます。
仕上げ塗り後。
向拝柱(ごはいばしら)の根巻金物の取り付け。
垂木(たるき)の木口を包む銅板。宝輪(ほうりん)の紋が打ち出されており、一つ一つが職人の手造りです。
後堂(うしろどう)の下屋(げや)は銅板一文字葺きです。葺いたばかりの時は、ギラギラとしていますが、しばらくすると色が落ち着き、やがて表面に緑青(ろくしょう)が生じ、美しい緑色になります。
柱が根(最下部)から水を吸って腐るのを防止します。
木口を銅板で包む主な目的は、木口割れの防止と防水ですが、意匠的にも、建物を重厚で端正に見せる効果があると考えられます。
雨樋の取り付け。樋も職人の手造りです。
そして、伝統の技と知恵を脈々と受け継ぐ建具職人がいます。スムーズな開閉と気密性を両立する為には、繊細な感覚と技術が要求されます。
脇廊下の格子窓の建付け。社寺建築においても、大量生産・ローコストのアルミサッシが用いられることが多い昨今ですが、大浦社寺建築社では、本堂の意匠に合わせた木製建具を設計しています。
角銅建具のご主人と息子さん。大浦社寺建築社設立以来のお付き合いで、いくつもの現場を共にしてきました。
外陣の桟唐戸(さんからと)の建付け。風雨に対する強度と、上部の連子(れんじ)による採光性能の、双方を満たした建具です。そうして、桟唐戸の内側に、腰障子(こししょうじ)が入ります。
原田左研、代表の原田進氏。こちらも、大浦社寺建築社の左官工事には欠かせない存在。壁の話をさせると、一晩あっても足りません。
先代からのお付き合い、野口鈑金店の職人の手によって、全ての飛檐垂木(ひえんだるき;最も軒先の垂木)の木口に取り付けられます。その数は400を超えます。
瓦棟梁の鍋順の田平氏(中央)と職人さん。大浦社寺建築社の瓦工事には欠かせないスタッフです。
斗栱(ときょう)や蟇股(かえるまた)の際(きわ)は、マスキングして特に丁寧に塗ります。
脇廊下の天井張り。
束柱(つかばしら)と虹梁(こうりょう)の緊結。樫(かし)の込み栓(こみせん)を打ち込みます。
造作材の最後の仕上げをしています。
脇廊下の床板張り。鉋で目違い(めちがい;継手部分に出来る段差)等を調整しながら張っていきます。
外陣(げじん)の天井工事。格縁(ごうぶち)を組んでいるところです。
外陣(げじん)、余間(よま)は、小組格天井(こぐみごうてんじょう)です。小組を張っていない部分には、照明器具が入ります。
御内陣、後門柱(ごうもんばしら)上部の斗栱(ときょう)。彫刻を施した鼻木(はなぎ)を組み入れています。
いよいよ御内陣の折上天井(おりあげてんじょう)を組みます。亀の尾(かめのお;折上格縁)を入れます。
折上部分が納まりました。亀の尾の間の細い部材は蛇骨子(じゃほこ)と呼ばれます。
隅の尾(すみのお;隅の亀の尾)も納まりました。
組み上がった御内陣の折上小組格天井(おりあげこぐみごうてんじょう)。
破風板の拝みの部分に懸魚(げぎょ)を取り付けます。このデザインは蔐懸魚(かぶらげぎょ)と呼ばれます。
同じく向拝の手挾(たばさみ)。菊の華のデザインです。彫刻で使用する木材は、特に乾燥が必要な為、弊社工場にて、建築用材とは別に保管してあります。
向拝の縋破風(すがるはふ)にも降懸魚(くだりげぎょ)を付けます。
向拝の獏鼻(ばくはな)。向かって右が口を開いた阿(あ)、左が口を閉じた吽(うん)です。
御内陣は、欅(けやき)の縁甲板(えんこいた)を張ります。日本中から銘木(めいぼく)が集まる、名古屋の木材市場にて仕入れた丸太から製材しました。欅は、乾燥が何より肝要です。
いよいよ、外陣廻りの落縁(おちえん)の施工です。縁束(えんづか)の高さの微調整をしているところです。
縁板(えんいた)張り。丁寧に削り合わせながら張ります。
堂内の錺金物(かざりかなもの)の取り付け。
匂欄(こうらん)を組み終え、擬宝珠(ぎぼし)等の錺金物(かざりかなもの)を取り付けます。
向拝階段を組みます。
登匂欄(のぼりこうらん)。
向拝階段中央の手すり。御本堂に合わせて設計した、木製のものです。
庫裏との渡廊下には、円窓を取付けました。
こういった部分にも設計者の個性が出ますので、いろいろと見比べてみるのも面白いものです。また、これらの彫刻は、遠く下から見上げても図柄がはっきり美しく見えるように、弊社では、立体感を特に強調して彫っています。
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造作(木工事)
屋内仕上げの木工事を総称して造作(ぞうさく)と呼びます。
竣工
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大工だけの力では本堂は建ちません。
各方面の職人の手が合わさって、竣工に至りました。
後部。
向拝。
正面。
お施主様、地域の皆様のご協力のおかげで、無事、無事故のうちに新本堂が竣工しました。ありがとうございました。
御内陣。
御内陣。
正面より。
堂内全景。
渡廊下の花頭窓(かとうまど)。
庫裏との渡廊下。
外陣見上げ。
喚鐘(かんしょう)を吊る為の木鼻(きばな)と台輪(だいわ)。
欅(ケヤキ)製の御賽銭箱。竣工記念品として製作、寄進させて頂きました。
渡り廊下。
向拝階段の手すり。
後堂(うしろどう)廊下。
御給仕棚(灯明準備台)。後堂(うしろどう)のスペースに合わせて設計、製作致しました。
打敷(うちしき)収納箪笥。収納の寸法に合わせて製作致しました。
だいぶん組み上がりました。縁束の上部にも、斗(ます)と、実肘木(さねひじき)があります。
向拝。
妻側見上げ。
社寺の建築に御縁を頂いている者として、これほどまでに有難い御言葉があるでしょうか。門徒会館の玄関に貼られていました。スタッフ全員に写真をプリントして配り、これらの御言葉を胸に、より精進する事を誓い合いました。
旧本堂。
新本堂。旧本堂から願いが引き継がれました。
切り込み(木工事)
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入荷した木材は、まず弊社工場にて、自然乾燥の後、各部材ごとに、現場ですぐに組み立てられる状態まで仕上げます。これを切り込みといいます。
本柱の鉋(かんな)仕上げ作業。4角の柱を、8角→16角→32角と角を落としていき、円柱(まるばしら)に仕上げます。
副住職、総代会による御用材検査。遠いところ、ご足労頂きありがとうございました。実物を前に、弊社代表と棟梁が説明申し上げ、ご質問にお答えします。
製材され、大浦社寺建築社太宰府工場に入荷した御用材。切込まで約一年間、自然乾燥します。
向拝柱(ごはいばしら)の仕上げ。本几帳面(ほんきちょうめん)取りの鉋(かんな)仕上げ作業。
仕上げられた、向拝柱(ごはいばしら)の根元。端で弧状に細くなっている部分は、粽形(ちまきがた)と呼ばれ、鎌倉時代の様式です。
御内陣、折上げ格(おりあげごう)仕上げ。南京(なんきん)と呼ばれる特殊な鉋(かんな)を使います。
天井の小組格(こぐみごう)。竣工後は遠目でしか見る事の出来ない部分も、こうしてひとつひとつ、丁寧に組まれています。
大斗(だいと)の仕上げ。曲面を削る為には、台が局面になった丸鉋(まるがんな)を使います。使い込んで手に馴染んだ数々の道具は、大工として無くてはならないもの。各自が大切に管理、手入れをしています。
六葉(ろくよう)の彫刻。屋根の妻飾りの懸魚(げぎょ)に付けられます。
落縁(おちえん)の高欄の加工。
虹梁(こうりょう)の彫刻。
蟇股(かえるまた)の彫刻。使用する彫刻刀は数十種類にのぼります。
この御本堂を建てるのに、約50枚の図面を描きました。
丁寧に梱包され、いよいよ現場への出荷を待ちます。
弊社代表が設計した、全て手描きの図面(ぜひ、写真をクリックして拡大して御覧下さい)。
妻虹梁(つまこうりょう)の組み上げ。クレーンで慎重に降ろされます。
野地の上に、ルーフィング(防水屋根下地シート)を張ります。これも一般的には一重張りが主流ですが、九州の台風が多い気候に合わせ、弊社は二重張りします。
微妙な曲線を描く社寺建築の屋根野地。銅板葺きは、現場で職人が銅板を打ち出し、曲げたり伸ばしたりしながら、野地に合わせてかたちを整えていきます。
板金工事
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建具工事
建具は、建物の意匠を構成する極めて重要な要素です。
表層や仕上げばかりが全てではありません。下地から全て、伝統的な素材、構法を用いています。このような伝統工法を施工できる左官職人は、現代ではごくわずかになりつつあります。
左官工事
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このドキュメントの掲載を快くご了承頂きました西教寺様に、心より感謝申し上げます。
新本堂が出来るまで ~西教寺本堂改築工事ドキュメント~
長崎県大村市 平成18年9月竣工
(建築用語では、 「改築」=既にある物件を撤去して建て直す 【一般的にいう「新築」】 となります。
弊社の工事名称も、これに基づいております。)